学術情報

女性応援ハーブについて

セイヨウシロヤナギ(ホワイトウイロー)

古くから解熱剤、鎮痛剤として使用されてきました。主要活性成分はサリシンです。サリシンは体内でサリチル酸に転換され、痛みと炎症を引き起こすプロスタグランチン濃度を減少させます。月経時の痛みは、女性の身体に大きなストレス(酸化作用)をもたらします。サリシンはアスピリン等の合成化学物質と比較してより多くの回数の服用が可能で、効果を持続させる傾向があります。又、アスピリンの連続服用時におこる胃の出血やその他の副作用を起こしません。

 

【注意】

サリチル酸に対して感受性のある場合やアレルギー体質の場合は摂取を控えてください。妊娠中に関する十分な報告はありませんが、授乳中に関してはセイヨウシロヤナギに含まれるサリチル酸が母乳に移行し乳児へ影響を及ぼす恐れがあります。


ラクティウムTM(カゼイン加水分解物)

赤ちゃんがミルクを飲んだ後に体内で生成するリラックス成分です。ミルクを飲んだ後の赤ちゃんの安らかな顔をヒントにフランスのナンシー大学とイングレディア社が共同で研究開発した新しい素材です。

特許技術であるこの乳タンパク質は、ストレスと不安を減少させることが臨床的に立証されています。脳と中枢神経系にリラックスと鎮静を伝達する神経伝達物質であるガンマアミノブチル酸(GABA)の受容体に結合することによって、GABAシグナルを強化し脳内で持続させ、神経緊張・ストレス・不安を減少させます。中毒性はなく、ベンゾジアゼピン系薬でおこる副作用(離脱症状・眠気・記憶障害)もありません。タンパク質の加水分解物であるため通常のタンパク質に比べてアレルギーの原因になりにくく、また乳糖を含まないのでおなかにやさしく、消化不良を起こしません。


アーティチョーク葉抽出物(チョウセンアザミ)

アーティチョーク葉抽出物は、古くから消化器官の不調、肝機能低下に薬として用いられ、また利尿薬としても使われてきました。月経までの数週間、ホルモン値の変動により女性は水分を保持します。アーティチョーク葉抽出物は、尿の排出を増加させるように腎臓を刺激することによって、むくみと、一般的にPMSに関連している他の消化器官不良を緩和します。

 

【注意】

キク科アレルギーのある人、胆のう疾患を有する人には原則禁忌。心配な方は医師の相談のもとに摂取して下さい。


チェストツリー

ヨーロッパでは紀元前400年頃から薬用として利用され、古くから女性生殖器疾患の治療に伝統的に用いられてきました。現在ドイツでは医薬品として、月経周期異常、乳房痛をはじめとするPMSに用いられています。

多くの臨床試験においても、PMSの代表的症状である月経前乳房痛に対して、チェストツリー抽出物が有効性であることが示されています。

月経前の乳房痛の多くは、高プロラクチンによる可能性が高い。脳下垂体から放出される刺激ホルモンであるプロラクチンは、乳腺を刺激して乳汁を分泌させるように働きますが、必要以上のプロラクチンの分泌が乳腺を刺激することで、痛くなります。チェストツリー抽出物が、これらの患者の月経前乳房痛における血清プロラクチン濃度に薬効を持つことが臨床試験で示されました。チェストツリー抽出物に含まれるジテルペン類が視床下部のドーパミン分泌を促進し、ドーパミンが下垂体前葉のD2レセプターに結合することによりプロラクチンの過剰分泌が抑制されます。


武蔵野大学 薬科学教授 油田正樹
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